指先寓話 国家総動員法案

指先寓話

なんてこった。
まさか、こんな法案が可決されるなんて。

国家総動員ミルクティー法案が国会の多数を持って可決された。

これから、あらゆる飲み物はミルクティーでないといけなくなるそうだ。

最初は反対していた国内の緑茶農家達も補助金やら、何たらバイオの開発した簡単に緑茶を紅茶に出来る機械とやらで一気にミルクティー法案の賛成に寝返りやがった。

酒造メーカーも、結局はミルクティーにアルコールを入れれば同じだろ?という謎の理論で全く反対する気も無さそうだ。

テレビでは盛んなミルクティーの効用を高々に喧伝しているし、
週刊誌なんかは隠れてレモンティーを飲んでいる有名人を探すのに躍起だ。

今や寿司屋ですら、あがりいっちょってミルクティーが出てきやがるんだぜ。
寿司なんだか、タピオカミルクティーなんだか、ほぼ区別つかねぇじゃねぇか。

こんな馬鹿な法案が論議されたのも、新型ウィルスを防ぐにはミルクティーを飲むしかないって国際機関が発表したからだ。

初めはそんなわけがないと、アメリカの大統領が叫んでいたが、次々と出てくる「エビデンスのある」ミルクティーの効用に首を縦に振らざるを得なくなった。

世界からあらゆる飲み物が消え去って、全てはミルクティーに置き換わっていった。

あのワインが文化だって言っていたヨーロッパですら、バタバタとウィルスで倒れていく事実の前にワインを全て海へ投げ捨ててしまった。

紅茶の生産数世界一位の国なんざ、もう大企業の植民地だ。
大量のロボットが次々と紅茶を生産していくのを国民が遠巻きに見ているだけの国になった。

世界のあらゆるものがミルクティーに最適化されていった。
ミルクティー生産以外のあらゆる飲み物の生産設備が投げ捨てられた。

ぶち。


急に国家総動員ミルクティー法案可決の中継画面が切り替わった。
また、新型のウィルスが発生したというニュースと、スーパーコンピュータでの遺伝子調査の結果、今度の新型ウィルスにはコーラが効くとの報道が流れた。

そのあと、ほんの少しだけウィルス発生後世界の貧富の格差が拡大し、世界のセレブが500億ドル富を増やしたというニュースが流れた。

俺は、もうニュースにうんざりして猫動画特集にテレビのチャンネルを変えた。

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